陸上採苗2003年

2003年朝5時集合・・・まだ朝日の出る前の金田漁協横(中島海岸)です。
東京湾アクアラインを望む漁港に陸上採苗の施設にて9月11日から開始しました。
数日前から、施設を組み立てたり、糸状体カキガラを18℃に冷却したり、冷却機・ホースの準備をします。

日の出15分前頃に、暗黒処理(夜の間に光を入れない処理)をしておいた糸状体カキガラを水車の水槽にセットします。
日の出とともに水車を回し始めます。

糸状体カキガラは常温から急激に18℃に冷却すると、数日(4〜6日)で殻胞子の放出を始めます。
それに合わせて陸上採苗を開始します。
成熟した糸状体カキガラが光を浴びると殻胞子が放出されます。
その殻胞子を海苔網に着生させます。
光が少ないと、着生も少なくなります。
水車の水槽の水温は20℃〜23℃程度が適切です。
それ以上、上がっても下がっても駄目ですね。

左の機械が3馬力の冷却機です。
この機械により、水温を23℃台以下に保ちます。
海苔芽は高温には弱い海藻です。今年のように30℃を超える気温の時には大事な役割を果たします。
6時15分から30分頃には海苔網に殻胞子が着生します。

右の画像は、海苔網をハサミで切り、着生の確認をする作業です。約5分間隔で切って顕微鏡にて確認します。

顕微鏡での確認は100倍視野にて一人の人が担当して、適切な数が着生するとOKサインを出します。
OKサインが出たらすばやく水車に巻いてある海苔網を剥がしていきます。
水車には6枚に重ねた海苔網を24回巻いてあります。合計144枚の海苔網を巻いてあります。
順調に着生が確認できると、1時間に10巻(60枚)程度着生させる事が出来ます。

ここで人間の知恵と研究が成果を挙げます。
糸状体カキガラは、光を浴びないと胞子を放出しません。
そこで、先ほど書いた暗黒処理をした糸状体カキガラを15分間隔開放して、水車の水槽に入れていきます。
最初に入れたカキガラが放出の山を超えても、後から入れたカキガラが放出の山を築きます。
繰り返す事により4時間程度は安定した着生が望めるようになります。

着生した海苔網は、水温23℃台以下の養生水槽にて芽立ちをさせます。
丸かった胞子が数時間後には網に根を張るようにオバQのような形に立ってきたら、海水を切り、ビニールの冷凍袋に入れ、冷凍庫(マイナス20℃)に保管します。

この作業はお昼過ぎから天候にもよりますが晴れている場合は午後2〜3時頃には終了します。
この網は、1ヶ月程度だったら保存できます。
海が海苔の育つ状況に安定してきたら海苔柵に張り込みます。

予定枚数の海苔網に胞子を着生させたら、明日の準備です。
水車の角(つの)に網を引っ掛けて巻きつけていきます。

巻きつけた網は水車を2〜3時間程度回し洗浄します。
大体この時間帯に昼食となります(笑)

その日の胞子を放出したし状体カキガラは水温18℃の水槽に戻し適度(6〜7時間)な日光を当てて休ませておきます。すると4〜5日は胞子を放出します。

水車の水槽は汚れる為に毎日海水を交換します。
交換した海水を明日の為に冷却機を20℃に温度設定をしておきます。

左の水槽が、暗黒処理です。右の水槽は暗黒処理前の水槽です。
ひと水槽には、糸状体カキガラを4,000枚程度入れてあります。
日が沈む頃に光の入らない黒い厚手のシートをかぶせておきます。
その他に各冷水機の水温設定を確認して、明日の天気を予測して計画を話し合い・・・・

これにて1日の作業終了です。朝の5時に集合して、2時間程度休憩があり午後5〜6時には終了です。
ここのページを作成している時点で、一人当たり約200枚の網を冷凍庫に保管できました。
予定では、あと200枚〜300枚程度着生させます。
陸上採苗の良い点は、異常気象による海況の不安定時には最適です。
地球温暖化のせいで、季節が約15日はずれている感があります。
早めにこの方法で種網を作成して準備しておく事により、異常気象時にも余裕のある仕事が出来ます。

陸上採苗で100パーセントの種網を作る方もいますが、私は野外採苗と半々を予定しています。
残り、400〜500枚の網は野外採苗となります。(合計で900枚〜1,000枚の海苔網に採苗します)

2003/9/15up


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